
読むことのアレゴリー (講談社学術文庫)
ポール・ド・マン and 土田知則
講談社 / 2022-12-15
この本について
文章を読んでいると、作者の意図を「当てにいこう」としてしまったり、自分の読みが合っているのか不安になったりすることってありますよね。特に難しいテクストだと、読みの手応えよりも、どこか追試しているだけのような感覚が残ることがあると思います。僕も長いあいだそのモヤモヤを抱えたまま読み続けていました。 『読むことのアレゴリー』が面白いのは、そういう「読み手の迷い」を外側から整理してくれるところです。作者と読者の区別すらテクストが作り出す効果にすぎない、という指摘は、読みの不安を煽るどころか、むしろ救いに近いものでした。読みは主体の技量ではなく、言語そのものがもつ曖昧さや、比喩がはらむ過誤の構造といった、テクスト内部の条件によって動かされているのだとわかるからです。さらに、この本では、隠喩の「過剰な真面目さ」や、証拠が言語的か非言語的かによって意味が揺らぐ場面など、具体的な文学作品を通して、読みがどんなふうに揺れ動くのかが丁寧に示されます。 大げさに人生を変える類の本ではありませんが、自分の読みが迷う理由を外から照らしてくれるだけで、だいぶ呼吸がしやすくなる一冊でした。テクストとどう向き合えばいいのかに悩み続けている人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第5章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
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