
ストーリーが世界を滅ぼす―物語があなたの脳を操作する
ジョナサン・ゴットシャル and 月谷 真紀
東洋経済新報社 / 202208
この本について
日々、誰かの言葉やニュースに気持ちを持っていかれたり、自分でもよく分からない「敵」を作ってしまったりすることってありませんか。冷静でいたいのに、物語の流れに引っ張られるような瞬間がある。自分の判断なのか、どこかで拾った筋書きなのか、線が曖昧になるあの感覚です。 『ストーリーが世界を滅ぼす』は、その曖昧さをいったん丁寧にほどいてくれる本でした。特に、「物語は必要不可欠な毒」という視点は、自分の中の説明癖や“善人でいられる贅沢”を振りかざしてしまいそうになる瞬間にブレーキをかけてくれます。陰謀論がなぜ刺さるのか、なぜ私たちは「悪者」を欲しがってしまうのか、といった話も、他人事ではなく日常の小さな判断にそのままつながってくる。物語から距離を取るのではなく、巻き込まれる自分のクセを静かに観察するための視力が少しだけ上がる感覚があります。 ストーリーに振り回されがちな時代に、どう足腰を強くしていくか。これは派手な解決策を提示する本ではないけれど、物語を信じたい気持ちと疑いたい気持ちの両方を抱えながら生きている人には相性がいいと思います。特に、「自分の考えって本当に自分のものなのか」とふと立ち止まる瞬間がある人に、静かに効いてくる一冊です。
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