
マスコミ偽善者列伝 建て前を言いつのる人々
加地伸行
飛鳥新社 / 2018-08-09
この本について
ニュースを読んでいると、何が事実で何が“雰囲気”なのか分からなくなる瞬間ってありますよね。自分でも確かめようがなくて、でも周りが強い調子で断言してくる。あの居心地の悪さにずっとモヤモヤしている人は多いと思います。僕もその一人で、議論の土台が感情だけで動いていく感じに、どこか置いていかれるような気分がありました。 この本は、そのモヤモヤに対して「一度、距離を置いて眺める」ための視点をくれます。著者は、道徳教育や主権、戦争・安保といった重たいテーマを扱いながらも、特定の立場に誘導するのではなく、“感情で語られた言説がどんなふうに世論を動かすのか”を淡々と拾い上げていきます。たとえば、ある発言がどのように「戦争への道」という物語に組み込まれ、読者の動揺を生むのか。あるいは、多数決という仕組みの意味が個人の好き嫌いと混同されたまま語られてしまう危うさ。こういう指摘は、ニュースをそのまま飲み込まずに、自分で判断するための地図に近い感覚がありました。 読みながら、「あの時、自分が感じていた違和感ってこれだったのかも」と腑に落ちる場面がいくつかあって、情報にふり回されがちな時期ほど効く本だと思います。特に、複雑な議論を“物語”として語るメディアに疲れてしまった人には刺さるはずです。 空気に押されて結論を急いでしまう日が続いているなら、一度この本で頭の温度を下げるのも悪くないと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの69%が集中しています。
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