
ミッション建国 (角川文庫)
楡 周平
KADOKAWA / 2017-04-25
この本について
政治や公共事業の話になると、「なんでこうなるんだろう」と思いながらも、どこか距離を置いてしまうことがあります。自分ひとりが考えたところで何も変わらない気がするし、仕組みが複雑すぎて、モヤモヤだけが残る。そんなときに、この作品を読むと視界が少し晴れる感覚がありました。 この小説は、日本の政治や公共事業の“構造的な癖”を、物語として追いながら理解できるところが強いです。例えば、費用対効果より「始めたから続ける」を優先しがちな国民性や、地元への目に見える還元を求める有権者と、それに応える議員・企業の関係。ニュースでは表面的に流れていく話が、実際にはどんな積み重ねで生まれているのか、その裏側を具体的なシーンとして描いてくれます。だから、自分が普段抱える疑問を「こういう力学が働いていたのか」と現実的な手触りで理解できるんですよね。 そしてもう一つ、この本は「本当に今必要なものは何か」を落ち着いて考え直させてくれます。高速道路や新幹線のような大きな事業が、本当に地域を救うのか。あるいは、そこに漂う“惰性”のようなものがどこから来るのか。物語として読んでいるはずなのに、自分の生活や仕事での意思決定にもつながる感覚がありました。 政治に詳しい必要はありません。ただ、「日本の意思決定の遅さやズレに、ずっと違和感を抱えてきた人」には、静かに刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの63%が集中しています。
読書の順序
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