
岳飛伝 七 懸軍の章 (集英社文庫)
北方謙三
集英社 / 2017-05-24
この本について
仕事でも日常でも、気づけば「ちゃんと生きるって何なんだろう」と考え込んでしまうことがあります。役に立っている実感が持てなかったり、誰かとの関係がうまくいかずに勝手に落ち込んだり、あるいは自分の弱さに触れてしまって動けなくなったり。そういう時に、無理に前向きになれと言われても余計つらいだけなんですよね。 『岳飛伝 七』にある抜粋を読んでいると、生きることを大仰なテーマとしてではなく、「営み」として捉え直す視点が見えてきます。火をおこす、食べる、誰かと話す、弱さを認める。一見ささいに思える行為が、人をもう一度立ち上がらせる土台になっていく感じがあって、読んでいるこちらが落ち着くんです。岳飛たちの激動の生活の中でも、「結局、生き延びた以上、やることはある」と腹を据える姿勢や、貸し借りの感情がうまく扱えない不器用さは、現代の自分たちにもそのまま響きます。 もうひとつ、この巻が沁みるのは、「人の成長は劇的な転換ではなく、越えるべきものを自分で越える時にしか起きない」という空気が流れているところです。張朔のように、避けていた相手と向き合う場面や、鍋ひとつで生活を組み立て直す場面は、ドラマチックではないのに妙に胸に残ります。大事な変化って、こういう小さな具体の積み重ねからしか生まれないんだよなと。 大きな答えを求めるより、「今日どう生きるか」を静かに整えたい人に刺さる巻です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
読書の順序
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