
一次元の挿し木 (宝島社文庫)
松下龍之介
宝島社 / 2025-02-05
この本について
ときどき、自分の性格や選択って「結局、生まれつきで決まってるんじゃないか」と考えてしまうことがあります。努力とか環境とか言われても、どうにもならない部分があるような気がして、ふと無力感が出てくるあの感じです。僕も仕事で壁にぶつかったときほど、この問いに戻ってしまいます。 『一次元の挿し木』は、そのモヤモヤを正面から扱う物語でした。遺伝子と育ち、生まれと環境。作中では極端な形で問いが突きつけられるのに、読み進めるほど「じゃあ自分はどう生きる?」と静かに問い返されているようでした。DNAが一致するとか、存在が記録から消えているとか、ミステリーとしての驚きもあるんですが、刺さるのはもっと地味で、人間の感情や選択の揺らぎのほうでした。 なにより「人の本質は化学反応でしかない」と突き放しつつ、それでも誰かを想う場面がちゃんと残っていて、生物学的な説明だけでは割り切れない“人間の余白”が見えてくるんです。そこが、この物語のいちばん後を引くところだと思います。 生まれと育ちの狭間で揺れたことがある人、自分のルーツや選択に違和感を抱き続けてきた人に、特に刺さるはずです。僕は読み終えて、「全部が決まっているわけじゃない」と少しだけ呼吸がしやすくなりました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの29%が集中しています。
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