
美しき愚かものたちのタブロー (文春文庫)
原田 マハ
文藝春秋 / 2022-06-07
この本について
最近、何かを決めようとすると腰が引けてしまったり、「自分なんかが動いたところで」と妙に冷めてしまう瞬間があって、正直もやっとします。昔はもっと大胆に動けていた気がするのに、気づけば周りの空気を読みすぎて、小さくまとまっていく自分がいる。そんなときに原田マハさんの『美しき愚かものたちのタブロー』を読むと、少し視界が広がる感じがありました。 松方幸次郎の行動には、後先考えない豪快さというより、時代の空気を読みながらも「それでもやる」という妙な明るさがあります。戦争や政治の裏側が描かれる一方で、光に満ちた絵を前にした人の表情、フランスで絵を守った人たちの小さな決断など、歴史の中で個人がどう動くかが丁寧に描かれている。読んでいると、自分の仕事や判断も、もっと大局で見直していいのかもしれないと思えてきます。たとえば、目の前の失敗に落ち込んでいるときほど、「まだ先がある」という松方の読みの強さが妙に効いてきますし、誰かのために絵を守り抜いた人たちの姿は、仕事の判断基準をひとつ増やしてくれる感じがします。 史実ベースの物語ですが、英米との駆け引きや、美術館の裏で動いていた人たちの奮闘を追っていくと、「自分の行動が未来につながる」という感覚がすこし戻ってくる本です。大げさな勇気じゃなくてもいいから、一歩を踏みたい人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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