
楽園のカンヴァス(新潮文庫)
原田 マハ
新潮社 / 2014-07-01
この本について
仕事でも私生活でも、「自分の目でちゃんと世界を見ているのか」とふと立ち止まる瞬間があります。効率とか再現性ばかり考えていると、目の前のものをただ“情報”として処理してしまう感じがして。そんなときに『楽園のカンヴァス』を読むと、世界の見え方が少しだけ変わります。アートの話なのに、作品そのものより“世界との向き合い方”を問われるんです。 たとえば、美術館の裏側で動く人の駆け引きや、生活ギリギリで描き続けたルソーの話は、創作することの泥臭さをそのまま突きつけてきます。きれい事じゃなくて、食うために絵を描き、それでも自分が信じたものだけは手放さない。そこに「美を突き放した醜さ」という言葉の重みが生きていて、自分の仕事にも置き換えざるを得ません。また、ピカソやルソーの作品を前に登場人物が“世界そのものを理解することがアートを理解すること”だと語る場面は、視野が固まってきたときの再起動スイッチみたいに効きます。 物語としても純粋に面白いのですが、読んでいるうちに「自分の仕事の見方がちょっと変わったかも」と思わせてくれる不思議な力があります。肩の力が抜けているのに芯がある作品で、アートに詳しくなくても大丈夫です。 こんな人に刺さる本です。自分の“見る力”が最近鈍っている気がする、と感じている人。
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