
あなたは、誰かの大切な人 (講談社文庫)
原田マハ
講談社 / 2014-12-17
この本について
仕事や人間関係でちょっと疲れて、「ひとりになりたいけど、本当にそれでいいのか」と迷うことってありませんか。反対に、人と過ごす時間が大事だと分かっていても、忙しさのなかで後回しになっていったり。どっちの気持ちも噛み合わないまま残ってしまうと、なんとなく心が重たくなるんですよね。 『あなたは、誰かの大切な人』を読んでいて感じたのは、この本はその“ふたつの揺れ”を無理に片方へまとめようとしないところです。孤独に身を置く時間が必要だと静かに肯定してくれる一方で、誰かと食卓を囲むようなささやかな幸福をちゃんと受け取っていいんだと背中を押してくれる。どちらも切り捨てない世界の見え方が、読みながらじわじわと自分の中にも広がっていく感じがしました。大事な人から「旅に出よう」と誘われるシーンもあって、迷いを抱えたまま一歩を踏み出す人間の温度がそのまま描かれているのも印象的でした。 ひとりでいる時間と、人と過ごす時間のバランスが分からなくなっているとき、この本は少し呼吸を整えてくれる気がします。特に、自分の心の「大きい部分と小さい部分」をどう扱えばいいのか分からないまま日々を回している人には、すっと沁みるものがあると思います。
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