
妻に捧げた1778話(新潮新書)
眉村 卓
新潮社 / 2004-05-19
この本について
忙しい毎日の中で、大事な人との距離感がふと分からなくなることがあります。どこまで踏み込めばいいのか、何を共有すれば「ちゃんと向き合っている」と言えるのか。あるいは、何か大きな出来事に直面したとき、自分の判断が本当に正しいのか自信が持てなくなる瞬間もあります。気持ちは揺れているのに、具体的にどうすればいいか分からない。そんなときに、この本の言葉が静かに効いてきます。 たとえば、身近な人を失った直後に「一年間は新しいことを始めるな」と忠告され、その意味を後から深く理解するくだり。気持ちが乱れているときほど、自分では冷静なつもりでも判断がゆがむ。明確な答えではないけれど、「ああ、そういう時期って誰にでもあるんだ」と肩の力が抜けます。また、人と共に生きるうえで「相手の心を全部知る必要はない」という視点も、関係に悩んでいる人には救いになると思います。完璧に理解し合うことより、同じ方向へ歩こうとしているかどうか。そのシンプルさが胸に残ります。 派手な感動ではなく、生活の伸びしろにそっと触れてくれる一冊です。特に「大切な人との距離の取り方に迷っている人」には、静かだけど確かな手がかりになると思います。
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