
悪医 (朝日文庫)
久坂部 羊
株式会社朝日新聞出版 / 2017-03-07
この本について
仕事でも私生活でも、誰かに「つらい現実をどう伝えるか」で立ち止まることがあります。言葉を選べば選ぶほど相手を思い通りにできる気がしてしまったり、逆に踏み込みきれずに後悔したり。正解がないまま、ただ迷いだけが残るあの感じです。 『悪医』を読んでいて刺さるのは、まさにその“迷い”が丁寧に描かれているところだと思います。末期の患者に告げるべき言葉を前に、医師が戸惑い、立ち止まり、自分の中の弱さや恐れと向き合っていく姿は、医療の話にとどまらず、誰かと真剣に向き合う場面すべてに通じます。治療の選択肢が尽きた場面で医師がどこまで語るのか、その裏にある「自分は何を守りたいのか」という揺れがとても生々しいです。 この本が効いてくるのは、綺麗ごとではなく、現実の重さをどう受け止めるかを考えるきっかけになるところ。相手の期待や自分の責任感に振り回されてしまうとき、言えなかった一言や伝えたくなかった本音をどう扱うか、具体的なシーンの積み重ねがじわじわ効いてきます。医療ドラマの爽快感とは真逆ですが、そのぶん自分の中の“逃げたい気持ち”を静かに見つけてくれる一冊です。 人に向き合う仕事をしていて、ときどき自分の言葉に自信をなくす人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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