
ステーキを下町で (文春文庫)
平松洋子, 谷口ジロー, and 谷口ジロー・画
この本について
仕事で疲れて帰る日の夜、ごはんを前にしても頭が切り替わらないことってありませんか。せっかく食べているのに、味が入ってこないというか、「食べるってこんなに雑だったかな」とふと立ち止まる瞬間があります。自分の生活と食事がどこか離れた場所にあるような、あの変な空気です。 『ステーキを下町で』を読むと、その距離がじわっと埋まっていく感じがあります。平松洋子さんが描く店や人の佇まいは、ただの“グルメ紹介”ではなく、食べる側の生活まで含めて見つめているんですよね。「グルメは消費者だけど、食通は生活者」という一文が出てきますが、まさにその通りで、店主の言葉や下町の空気、焼酎の味の違いまで含めて、一緒にテーブルに座っているような目線で書かれています。読んでいると、自分の食事も少し丁寧に扱ってみようかな、という気持ちになるんです。郷愁が酒の肴になる感覚とか、店の名前の由来を知ったときの妙なうれしさとか、そういう小さな“味わい”が生活に戻ってくる。 だからこの本は、特別な料理を食べたい人よりも、「日々のごはんがただの作業になってきた気がする」という人にしっくりきます。食べることと生きることの距離を、無理なくそっと近づけてくれる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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