
サンドウィッチは銀座で (文春文庫)
平松洋子, 谷口ジロー, and 谷口ジロー・画
文藝春秋 / 2013-07-10
この本について
仕事の帰り道、なんとなく外食しても気分が晴れない日ってあります。おいしいはずなのに、ただ「摂取しただけ」みたいな感覚で終わるというか。自分の生活にゆとりがないと、食事の温度や季節の変化に気づけなくなるんだな、とあとから気づいて少し落ち込んだりします。 『サンドウィッチは銀座で』は、そんなモヤモヤにそっと呼吸を戻してくれる本でした。読者が保存した抜粋にもあるように、春野菜の調理を「眠っていたものを覚ましてあげるような気持ち」と表現する場面や、揚げたての天ぷらに集中しすぎて「口をきくのがもったいない」となる瞬間など、食べる側の時間まで丁寧に扱ってくれるんです。銀座から大阪まで実在のお店が次々に登場しますが、ガイド本というより、食事と向き合う自分の感覚を思い出させるような読み味があります。 もうひとつ印象的なのは、食べることがささやかな社会との接点にもなりうる、という視点。TFTの取り組みを紹介するくだりは、難しい話にせず、「自分の一食がどこかにつながっていく」感覚をそっと差しだしてくれます。大げさではないのに、読んだあとに食卓の景色が少し変わる。そんな効き方をする本です。 日々の食事がただの作業になりがちな人、あるいは「最近、味わう余白がなくなってきた」と感じている人に静かに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの35%が集中しています。
読書の順序
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