
サイレント・ブレス 看取りのカルテ (幻冬舎文庫)
南杏子
幻冬舎 / 2018-07-11
この本について
医療の話題って、自分ごととして考えたいのに、どこか距離があってモヤモヤすることが多いですよね。治療や延命の判断も、正解がないまま「何が一番いいんだろう」と立ち止まってしまう。僕自身、家族のことを思い浮かべながら、その曖昧さにずっと落ち着かなさを感じていました。 『サイレント・ブレス』が刺さったのは、そのモヤモヤを綺麗に解決してくれるからではなく、「現場の人はこんなふうに向き合っているのか」と視点をずらしてくれるところです。治せないとわかった瞬間に患者から関心が離れてしまう医師がいる一方で、死に向かう人にこそ寄り添おうとする医師もいる。どちらが正しいかというより、現場の温度や葛藤が会話の中に自然に滲んでいて、こちらの頭の中にも具体的な場面が浮かぶんです。作り話ではなく、実際に聞いた声や見た光景が混ざっているからこその「重さ」があって、妙に納得させられました。 特に効いたのは、病院のベッドで苦しませる“中途半端な延命”の描写で、あれを読むと「本人や家族の幸せって何だろう」と、綺麗ごと抜きで考えざるを得ません。答えを押しつけてこないぶん、自分の価値観が静かに揺れる感じがありました。 医療ドラマの爽やかさではなく、現実の揺らぎごと受け止めたい人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの46%が集中しています。
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