
新章 神様のカルテ (小学館文庫)
夏川草介
小学館 / 2019-02-05
この本について
仕事でも生活でも、自分の判断が本当に正しいのか分からなくなるときがあります。理屈より現場の空気に追われて、気づけば「何のために動いているんだっけ」と足元が揺らぐこともあるし、人の苦しみに寄り添いたい気持ちと、自分の限界とのあいだで立ちすくむ瞬間もあります。そういう場面って、うまく説明できない疲れが残るんですよね。 『新章 神様のカルテ』は、その“答えのなさ”をねじ伏せるのではなく、静かに受け止めてくれる物語でした。目の前の患者に尽くしても結果が伴わないことはあるし、正しさは立場によって揺らぐし、死は劇的でも救い深いものでもない。ただ、それでも人が手を取り合えば前に進めることや、規則やガイドラインの影に隠れがちな「本当に見るべきもの」を取り戻す瞬間が描かれていて、自分の仕事にそのまま置き換えて考えてしまいました。結局のところ、迷いながらでも目の前の相手に向き合うしかない、という当たり前を丁寧に思い出させてくれます。 派手な感動ではなく、現場にいる人間の揺れそのものを書いた物語なので、正しさに振り回されやすい人や、人に向き合う仕事をしている人には特に沁みると思います。読んでいて、少しだけ肩の力が抜ける一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの28%が集中しています。
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