
フォン・ノイマンの哲学 人間のフリをした悪魔 (講談社現代新書)
高橋昌一郎
講談社 / 2021-02-17
この本について
仕事で判断を求められるたびに、「自分の判断なんて、結局は主観の延長なんじゃないか」と不安になることがあります。正しさを求めつつも、感情や立場に揺れる。そういうモヤモヤを抱えたまま日々を進めていると、視野の狭さにも気づきづらいままなんですよね。 この本を読んで驚いたのは、フォン・ノイマンという人物が、その“揺れ”とはまったく別の軸で動いていたことです。皇居への原爆投下を阻止しつつ、京都への投下を主張するという、単純な善悪では測れない思考の跳ね方。あるいは、量子力学でも経済学でも、分野の常識をいったん外して、ゼロから筋道をつくり直す姿勢。こういう視点に触れると、自分が「条件反射で選んでいた判断」がいかに多いかに気づかされます。 さらに、当時の研究者たちの人間関係の描写も、きれいごとではない空気のまま書かれています。たとえば、ディラックが恋愛の感情そのものを理解できないと断言しながらも結婚に至る話や、ヒルベルトが女性研究者を守るために教授会で放った一言など、“天才だからこそ不器用”な場面が続きます。歴史の大きな成果の裏に、こうした揺れる個人の姿があることを知ると、自分の葛藤も少しだけ許せる気がします。 歴史の話に見えて、実は「判断の軸をどう持つか」を考えたい人に刺さる本です。
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