
機龍警察 狼眼殺手 (ハヤカワ・ミステリワールド)
月村 了衛
早川書房 / 2017-09-15
この本について
最近、何かを調べれば調べるほど「結局どこまで踏み込んでいいんだろう」と迷うことが増えてきました。組織の論理と個人の正しさがズレていて、でも目の前の不正や違和感を放っておくのも落ち着かない。そんなときにこの『機龍警察 狼眼殺手』を読んで、少し呼吸の仕方が変わりました。 この巻で描かれるのは、巨大な権力の影に飲まれながらも、捜査員たちが自分の「線引き」を探す姿です。贈賄や隠蔽の構造が細かく描かれる一方で、隊員同士の一瞬の視線や、相手の肩に手を回す場面のような、生身の反応が物語を支えています。読者が保存していた場面には、そういう“人間の揺らぎ”に気づく瞬間が多くて、そこがこの作品の肝だと思います。また、国家規模のプロジェクトを巡る利害の複雑さが、現実の仕事のしんどさと重なって見えてくるのも効きました。正義が一枚岩じゃない世界で、どうやって自分の立場を決めるのか。その迷いがまっすぐ描かれています。 「正しいことをしたいけれど、現実の力学に押されがちだ」と感じている人に刺さると思います。物語として濃密なのに、読み終えると妙に落ち着くのは、登場人物が失敗や葛藤を抱えたまま、それでも前に進んでいるからかもしれません。自分の判断に迷っているとき、そっと背中を押してくれる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの22%が集中しています。
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