
おらおらでひとりいぐも
若竹千佐子
河出書房新社 / 2017-11-17
この本について
年を重ねるほど、「ひとりでどう生きていけばいいんだろう」とふと立ち止まる瞬間が増える気がします。家族との別れや、昔の自分との距離が広がっていく感じ。前みたいには戻れないけれど、今のままでもどこか心細い。そんな揺れが続くと、気持ちの置き場所が分からなくなるんですよね。 『おらおらでひとりいぐも』を読んでいて刺さったのは、桃子さんが“いなくなったはずの周造”の声を確かに聴く場面でした。他人から見れば幻なのかもしれないけれど、本人には確かにそこにいて、支えてくれている。その感じが、過去を切り離さずに今を生きるための小さな支えみたいで、とても現実的なんです。また、子どもの頃にそらんじた物語の主人公がふっと現れるシーンも、懐かしい記憶が自分を立て直す力になる瞬間として、とてもやさしく響きました。忘れていた景色や声って、こんなふうに現在の自分を助けてくれることがあるんだなと。 そして最後の「おら、いぐも。」の強さは、誰かに背中を押されるのではなく、自分の足でこれからの場所を選ぶ姿勢そのものです。ひとりで生きることを無理に前向きに言い換えるのではなく、揺れたままでも一歩だけ動いてみる。そのリアルさが、この本が長く読まれている理由なんだと思います。 ひとりの時間が増えて、これからの生き方を静かに考え直したい人には、とても沁みる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの67%が集中しています。
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