
保守と大東亜戦争 (集英社新書)
中島岳志
集英社 / 2018-07
この本について
最近、「正しさ」とか「責任」とか、そういう言葉が重たく感じる瞬間が増えました。誰かが極端に振れるたびに、自分はどう距離を取ればいいのか分からなくなる。歴史や政治の話題に触れるときも、どこまで疑って、どこまで信用すべきなのか迷うことが多いです。 『保守と大東亜戦争』は、そんな揺れやすい気分に静かに効いてきます。本書で描かれる戦前・戦後の論客たちは、一枚岩の“思想家”ではなく、迷い続けながら判断しようとした生身の人です。彼らが警戒したのは、左右問わず「絶対的正義」を掲げる心理の粗さで、そこには自分の迷いにも似た感覚がありました。また、戦前の超国家主義と戦後の左翼的熱狂が同根であるという指摘は、何かを“信じすぎる”ときに人間が陥る傾向を照らし返してくれます。さらに、保守が大切にしてきた「人間は不完全である」という前提は、完璧な答えを求めて空回りしがちな思考を少し緩めてくれます。 読んでいて感じたのは、極端な話に引っ張られそうになったとき、立ち止まるための手すりのような本だということです。歴史や政治の話が目的ではなく、人間の迷い方や距離の取り方を学ぶ本に近い。特に「すぐに結論を急いでしまう自分が嫌だ」という人には、静かに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの24%が集中しています。
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