
さるのこしかけ (集英社文庫)
さくらももこ
オリオンブックス
この本について
日々の生活に追われていると、自分の感じ方がすり減ってきている気がする瞬間がありませんか。忙しさの中で流してしまった違和感や、小さなせつなさに気づきたいのに、うまく立ち止まれない。そんなときに、さくらももこさんの『さるのこしかけ』は、肩の力を抜いたままで感覚を取り戻させてくれる一冊でした。 読者の方が抜き出していた場面を読むと、刺さっているのは「笑えるのに胸がきゅっとなる、人間の温度」なんだと思います。インドのカオスみたいな状況をおもしろがりながら、その裏にある生活の気配までちゃんと感じ取ってしまう。旅先の子どもと別れる一瞬の重さに、なぜか自分の胸が痛む。そういう“説明のつかない感情”を無理にまとめず、そのまま受け取らせてくれるのがこの本のすごく現実的なところです。 私自身も、うまく言葉にできない気持ちに出会ったとき、つい整理しようとして空回りしがちです。でもこの本を読むと、まずは「感じる」を優先していいんだと思えるし、異国のとてつもない場面を前にしたさくらさんの戸惑いや笑いに、自分の不器用さもそのまま置いておけるようになります。世界の雑多さを見ながら、自分の心の揺れをそのまま観察できるようになる。そんな変化が静かに起きます。 日常の中で“感性のほうが先に動くタイプ”の人には、とくに刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの67%が集中しています。
読書の順序
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