
テーマパーク化する地球
東 浩紀
この本について
社会の空気に合わせて「正しい言い方」を探してしまうとき、ほんとうに自分が見ている現実がどこか遠ざかっていく感じがありませんか。ぼくもニュースやSNSで話題になる「当事者の声」や「正しさ」に振り回されて、肝心の自分の感覚がどこにあるのか見失うことがあります。 『テーマパーク化する地球』は、そのモヤモヤにゆっくり切れ目を入れてくれる本でした。性愛や暴力の語れなさ、忘却と記憶のあいだにある日本固有の姿勢、そして「いまここ」だけが評価される社会の息苦しさ。どれも、ふだん心の中で引っかかっていても、言葉にできなかった部分に光があたる感じがしました。特に、文化や歴史を一つの合理性で片付けようとすると大事な声がこぼれ落ちる、という指摘は、読んでいて胸がざわつきました。 この本の良さは、何かの立場に誘導しようとしないところです。むしろ、自分の中の矛盾した感覚や、言い切れない価値観をそのまま抱えていいんだと思わせてくれる。忘却と記憶の間で揺れながら、それでも世界をどう見ていけばいいのか、少しだけ視野が広がる本でした。 表の議論だけではどうしても取りこぼしてしまうものが気になってしまう人、正しさの基準に合わせるだけではしっくりこない人には、特に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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