
カフカはなぜ自殺しなかったのか?
頭木 弘樹
春秋社 / 2016-12
この本について
日常のささいなことで心が折れそうになったり、自分の気持ちを言葉にしようとして逆に遠ざけてしまったり。そういう「うまく生きられない感じ」に、説明のつかないモヤモヤを抱えている人って多いと思います。僕もその一人で、なんとなく自己改善の方向に引っ張られそうになるときほど、「いや、今はそういう話じゃないんだよな」と感じたりします。 『カフカはなぜ自殺しなかったのか?』は、そうした“生きづらさの手触り”を、カフカという一人の人間の生活や手紙を通して丁寧に触らせてくれる本です。例えば「言葉にすると、本当の輪郭が失われる」という話は、恋愛でも仕事でも思い当たることばかりで、説明できない気持ちを無理に言語化して余計に混乱していた自分に刺さりました。また、普通なら一歩で越えられるような障害が、カフカにとっては簡単に心を揺らすほどの重みを持ってしまう描写を読んで、“弱いまま生きていていいんだ”と静かに肯定された気持ちにもなりました。 そして何より、自殺を「考えることでなんとか生き延びる」というカフカの姿に、白黒つけられないまま踏みとどまってきた自分の感覚が少し整理されました。強くなるための本ではなく、弱さをそのまま扱える場所をそっと差し出してくれる本です。 とくに、言葉にできない気持ちを抱えたまま毎日を続けている人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの39%が集中しています。
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