
和解・小僧の神様 ほか十三編 (講談社文庫)
志賀直哉
講談社 / 1972-02-15
この本について
仕事でも家のことでも、人と向き合う場面が続くと、ふと「なんでこんなに疲れるんだろう」と思う瞬間があります。相手のちょっとした言い回しにむかむかしたり、こちらの気持ちをどう扱えばいいのか分からなかったり。大きな事件ではないのに、じわじわ心に残るあの感じです。 志賀直哉の『和解・小僧の神様 ほか十三編』を読んでいると、そういう“生活の中で生まれる微妙な感情”に向き合う視線が、妙に落ち着いて入ってきます。保存されていた「むかむか」「ジリジリする」「ギューッと」といった言葉は、ドラマチックでも何でもないのに、こちらの体感に近い温度で描かれていて、自分の中の感情が少し言語化されていく感じがあります。また、祥月命日や電報、病院へ向かう道のりなど、日常と非日常が重なる場面が淡々と書かれていて、「ああ、人間ってこういうところで揺れるんだよな」と素直に思えるんです。 さらに、志賀作品らしい丁寧な距離感が、こちらの心のざわつきを少し整えてくれます。誰かを責めるでも、過度に美化するでもなく、ただそのままの関係や時間を描くことで、こちらの気持ちの置き場所が見つかる瞬間がある。大きな答えは出ないけれど、読後に少し呼吸が深くなるような感覚があります。 人との関係に疲れやすい人や、感情の整理がうまくいかないときに静かに寄り添ってくれる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの36%が集中しています。
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