
中年危機 (朝日文庫)
河合 隼雄
株式会社朝日新聞出版 / 2020-09-07
この本について
仕事も家庭も、表面的には何も問題ないのに、なぜか気持ちが落ち着かない。昔は楽しかったことが急に色あせて見えたり、理由の説明がつかない不安だけがふっと湧いてきたり。年齢のせいと言われればそれまでなんですが、当人としては「いや、それで終わりにされたら困る…」という感じなんですよね。 河合隼雄さんの『中年危機』は、その説明しづらい揺らぎを「病気」とも「甘え」とも決めつけずに、ちゃんと一人の人間の内側で起きている“変化”として扱ってくれます。読んでいて刺さるのは、原因と結果で割り切れないものに対して、どう向き合えばいいのかを具体的に描いてくれるところです。ユングの話も、偉人伝としてよりは、「適応がうまくいきすぎている人ほど迷うことがある」という指摘が現実的で、妙に励まされました。それに、夫婦関係が何度か“死んで生まれ変わる”ようなものだという視点も、この年代のしんどさを変に美化せずに受け止めていて、読んでいてほっとします。 大きな処方箋が書いてある本ではありませんが、自分の内側で起きているもやもやを「そういう時期に入ったのかもしれない」と少し距離を置いて眺められるようになる一冊でした。特に、「何も問題ないはずなのに息がつまる」と感じている人には静かに効くと思います。
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