
暴君 シェイクスピアの政治学 (岩波新書)
スティーブン グリーンブラット and 河合 祥一郎
岩波書店 / 2020-09-18
この本について
最近、「なんであんな人が支持されるんだろう」とか、「気づいたら空気が一方向に流れていて怖い」と感じる瞬間が多いです。政治の話というより、自分の職場やチームでも似たようなことが起こるので、避けて通れないテーマなんだと思います。 『暴君 シェイクスピアの政治学』を読んでおもしろかったのは、暴君そのものよりも、「なぜ周りがそれを受け入れてしまうのか」という視点がずっと丁寧に追われているところです。無名の大衆がいつの間にか利用されていく流れや、噓と分かっていても群衆が指摘者を黙らせてしまう場面は、舞台の話なのに妙に現実に近い。自分も環境によっては同じ動きをしてしまうんじゃないかと、ちょっと冷やっとします。 もうひとつ刺さったのは、暴君の誕生に“個人の性質”と“社会の脆さ”が同時に絡むという描き方です。リチャードの内面の不安や歪みが、周囲の共謀や諦めと組み合わさって国を壊していく。そのプロセスを距離を置いて眺めることで、いま直面している混乱も少し整理して見られるようになる気がしました。 権力の話に興味がある人だけでなく、「場の空気に飲まれがちな自分が怖い」と感じる人に静かに響く本だと思います。
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