
土葬の村 (講談社現代新書)
高橋繁行
講談社 / 2021-02-17
この本について
最近、身近な人の死について考えるたびに、自分の中の「当たり前」がふっと揺れることがあります。火葬が当然と思っていたり、葬儀の作法をなんとなくやり過ごしてしまったり。けれど、なぜそうなっているのかを誰かに聞こうとしても、意外と誰も知らないまま日々が流れていきます。 『土葬の村』は、そんなモヤモヤを静かにほどいてくれる本でした。たとえば、日本人が「死んだらふるさとの山に還る」と感じてきたこと。法律による強制ではなく、生活改善運動によって土葬が消えていったこと。昔の弔いの作法を知らないと、落語のオチすら理解できないこと。どれも知識として面白いだけでなく、自分が属している文化の“足もと”を見直すきっかけになります。 読みながら、今の自分が慣れきっている死のあり方が、案外ここ数十年で急に形を変えたものだと気づかされました。火葬場の前提や、墓の形式、家族の関わり方……それらが「昔は違った」ことを知るだけで、今の選択肢をもう少し自分の手で選び直せる感覚が出てきます。大げさな答えをくれる本ではないのですが、視界の端がゆっくり明るくなるような読後感があります。 自分のルーツや土地の記憶に関心がある人、あるいは「死をどう受け止めていいかわからないまま大人になってしまった」と感じている人に、特に刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの19%が集中しています。
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