
無葬社会
鵜飼 秀徳
日経BP / 2016-10-27
この本について
都会で暮らしていると、死のことを考えるタイミングって本当に少ないまま日々が流れていきます。実家のお墓や菩提寺とのつながりも薄れ、葬儀はどうするのか、そもそも自分の死後を誰が引き受けるのか……頭のどこかで引っかかっているのに、直視するのはしんどい。でも放置していると不安だけがじわじわ溜まっていく、あの感じに心当たりがある人は多いと思います。 『無葬社会』が効いてくるのは、その不安を“制度の問題”“時代の変化”として落ち着いて眺めさせてくれるところです。首都圏の火葬場の逼迫や「送骨」の広がりといった現実的な話が並ぶ一方で、寺が“誰かの人生を引き受ける場所”として機能しなくなっている事情も描かれています。読み進めるうちに、葬式の有無や宗派の選択よりも、「自分はどこに帰属意識を持てるのか」という問いが浮かんでくる。個人的には、寺を故郷の象徴として見ている人の話が、都会生活で忘れがちな根っこの感覚を呼び戻してくれました。 大げさに人生観が変わる本ではないですが、死をタブー視せず、今の暮らしに引き寄せて考えるための“足場”をそっと渡してくれます。仕事に追われつつも、どこかで生と死のつながりを見失いたくない人にこそ刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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