
天国までの百マイル 新装版 (朝日文庫)
浅田 次郎
株式会社朝日新聞出版 / 2021-04-07
この本について
人に頼るのが苦手だったり、そもそも自分はそんなに大事にされる存在じゃない…と、心のどこかで思ってしまうことってありませんか。うまくいかなかった過去があるほど、幸せを受け取ること自体がむずかしく感じるあの感覚です。 『天国までの百マイル』を読むと、その凝り固まった思い込みが少しだけほぐれます。抜粋にもあるように、この物語で描かれるのは「誰かの善意が、偶然ではなく確かに積み重なっていく瞬間」です。主人公が百マイルを走り切れたのは、劇的な才能や勇気ではなく、周りから差し出された小さな助けを、少しずつ受け取れたから。自分ひとりでは進めない距離でも、誰かがそこにいると進めることがあるんだな、としみます。 もうひとつ、この本が quietly 効いてくるのは、「義務じゃなく、権利として誰かを救おうとする医者」の姿です。喜んで切るわけじゃない、と言いながらも、仕事に向き合う姿には妙なリアリティがあって、私たちが日々の仕事で感じる迷いや葛藤と地続きに見えてきます。完璧じゃなくていいし、ただ自分なりに誰かを思うことは、そんなに大げさな話じゃないのかもしれません。 自分の歩みにまだ確信が持てない人、善意を信じたいけれど少し怖い人に、静かに刺さる物語だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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