
日常に侵入する自己啓発
牧野智和
勁草書房 / 2015
この本について
仕事でも日常でも、「なんかずっと評価されている気がする」とか、「ちゃんとできていない自分を勝手に減点してしまう」みたいな感覚、ありませんか。僕も自己啓発の言葉に背中を押される一方で、どこかで“見えない基準”に追い立てられているような息苦しさがずっと残っていました。 『日常に侵入する自己啓発』は、そのモヤモヤの正体をかなり丁寧に見せてくる本です。たとえば、片づけや手帳術といった一見ささやかな習慣が、いつのまにか「人としての格」や「自分らしさ」の判定基準に変わっていく流れを歴史的にたどってくれます。また、男性向け・女性向けで異なる“求められ方”がどう形成されてきたのか、そして私たちがどれだけ「コントロールできること」に専念するよう仕向けられているかも、静かに気づかせてくれます。 読んでいて感じたのは、この本が何かを否定したり理想像を押しつけたりしないところです。ただ、「いま自分が感じている焦りや不足感は、ほんとうに自分の内側だけの話なのか?」と一歩引いて考える余白をくれる。僕にとっては、その距離がかなり救いになりました。 自分磨きの言葉に振り回されやすい人、あるいは“がんばり方”に違和感を抱えたまま日々を続けている人には、とくに静かに刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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