
天子蒙塵 1 (講談社文庫)
浅田次郎
講談社 / 2021-05-14
この本について
仕事でも日常でも、目の前のことで手一杯になって「今しか見えていないな」とふと不安になることがありませんか。過去を思い出す余裕も、未来に気持ちを置く余裕もなくて、気づいたら呼吸が浅くなるようなあの感じです。僕自身、忙しさに押されて視野が狭くなる時期があって、そんなときに浅田次郎さんの『天子蒙塵』を読んだら、少しだけ肩の力が抜けました。 この物語に出てくる時間の感覚は、ただ歴史を振り返るための装置ではなくて、「人がどうやって時間を抱えて生きているのか」を静かに照らしてくれます。過去を懐かしみながら今を歩く人、未来に希望を置いて耐える人、そのどちらも生きるための大事な拠りどころなんだと気づかせてくれる。そして、今だけに閉じこもると視界が急に貧しくなるという感覚にも、妙に心当たりがありました。あと「豊かな貧乏」という言葉が出てくる場面は、物の多さや派手さとは別のところで人は救われるんだよな、と静かに刺さります。 歴史小説だからと身構える必要はなくて、むしろ日々の生活に追われている人ほど、登場人物の息遣いや街の描写に助けられると思います。こんな人に刺さる一冊です。時間の流れとの付き合い方に少し迷っている人。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの43%が集中しています。
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