
心の病の最新知見Q&A うつ病の原因はウイルスだった! (扶桑社BOOKS)
近藤 一博
この本について
うつについて考えるとき、「結局なにが本当の原因なのか、誰もはっきり言ってくれない」というモヤモヤを抱えたまま過ごしている人、けっこう多いと思います。僕自身も、昔から説明のつかない落ち込みを前にすると、気持ちの問題なのか、脳の問題なのか、どこに答えを置けばいいのか分からなくなるタイプです。 この本がおもしろいのは、そうした宙づりの感覚に、いきなり精神論でも希望論でもなく、淡々と最新の科学の視界を差し出してくれるところです。たとえば、今も広く信じられている「セロトニン不足説」が、専門家の世界ではすでに過去の仮説として扱われていること。あるいは、身体の炎症が脳に波及し、神経細胞そのものに影響を与えて抑うつが起きるという、具体的な仕組みの話。こういう話を知ると、「自分の性格の問題に全部を押しつけなくていいんだ」と肩がひとつ下がる感じがあります。また、著者が現場の患者を救うためだけでなく、「誰かが見つけなければいけなかった」という静かな動機で研究を続けてきた背景も、読んでいて救われました。 気分の揺れや生きづらさを、自分ひとりの気合や捉え方だけで説明しようとして疲れてしまった人に刺さると思います。科学の話なのにどこか人間味があって、読み終わるころには、同じ景色でも少し違う角度で見られるようになる一冊でした。
読書インサイト
ハイライト密度
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