
入門アタッチメント理論---臨床・実践への架け橋
遠藤 利彦
この本について
子どもの頃の経験が、大人になった自分の不安や人との距離感にどれだけ影響しているのか。頭では「関係性が大事」とわかっていても、実際どこで何が形づくられるのかは見えづらいままですよね。自分の癖なのか、環境のせいなのか、その境界もあいまいで悩むことが多いと思います。 この本は、そんなモヤモヤに対して「関係が心をどう育てるのか」を地に足のついた形で教えてくれます。幼少期の安定・不安定がその後の情動調整やストレス反応の仕組みとどう結びつくのか、神経生物学や発達の研究をまとめてくれていて、単なるラベル分けで終わらないのがありがたいところです。また、アタッチメントは早期で決まるものではなく、環境の変化や新しい関係性の中で何度も更新されうるという視点が、過去を抱えたままでも前に進める余地を感じさせてくれます。 もうひとつ良かったのは、養育者側の「完璧さ」を求めないところです。敏感に応答するとはどういうことか、子どもの行動をどんなふうに読み取ればいいのか、現実的な温度で語られていて、自分自身の対人関係を振り返るときにも使える視点が多いです。 「自分の関係の癖がどこから来ているのかを静かに理解したい人」に刺さる一冊だと思います。私自身、過去を振り返るとしんどくなるタイプですが、この本は責めるでも持ち上げるでもなく、関係の積み重ねとして今を見せてくれました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第8章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの18%が集中しています。
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