
「むなしさ」の味わい方 (岩波新書)
きたやま おさむ
岩波書店 / 2024-01-19
この本について
最近、理由の言えない重さだけが残る日が続いていて、「何かを失ったわけじゃないのに、心のどこかがスカスカしている気がする」と相談を受けることがあります。正直、僕自身もよくあります。予定や通知で埋め続けているのに、ふと立ち止まった瞬間だけ妙に冷えるあの感じ。そんなときに手元に置いておきたいのが『「むなしさ」の味わい方』でした。 この本の良さは、むなしさを「なくすべき異物」として扱わないところです。むしろ、心の中にぽっかり穴があいたとき、その穴を急いで埋めようとするより、「間」に留まることの意味を丁寧に説明してくれます。例えば、他者との距離が広がることで生まれる感情を、人間が成長する過程で必然的に生じるものとして捉え直したり、不安定な時間をすぐ埋めずに待つことで、思わぬ創造性が生まれる余白になると示してくれたりします。読んでいると、「この感じを排除しなくていいんだ」と静かに肩の力が抜けていきます。 劇場化した現代の生活の中で、評価や反応に寄りかかりすぎて自分の輪郭がわからなくなる人ほど、ここで語られる視点が効くと思います。むなしさに吞まれるでもなく、ポジティブに変換するでもなく、ただ観察しながら持ち歩く。その態度を練習したい人にとって、ちょうどいい相棒になってくれます。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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