
精神の生態学へ(上) (岩波文庫)
グレゴリー ベイトソン、佐藤 良明
岩波書店 / 2023-06-19
この本について
仕事でも日常でも、複雑な問題に向き合っていると「自分はいま何を見て、どんなルールの上で考えているんだろう」と分からなくなる時があります。目の前のデータに振り回される感じだけが残って、思考の輪郭がつかめないまま進んでしまうあの感覚です。 この本を読んでいて、保存されていた抜粋に強くうなずいてしまいました。ベイトソンは、行動データと深いレベルの“基底の知”のあいだにあるギャップこそが、人を迷わせると語ります。科学者の思考法を例にしながら、「どんな順番で問いを立てるか」「どんな前提が自分の中で動いているか」を、物語でも自己啓発でもなく、もっと生態学的な視点で見直させてくれるのが特徴です。問いの広さと細かさの関係や、言葉と身ぶりの切り離せなさ、分類や名づけが持つ力など、普段の思考の癖を静かにひっくり返されるような瞬間が何度かありました。 すぐに使えるテクニックが書いてある本ではありませんが、自分の思考がどの“ルール”に乗って動いているのかを知りたい人には、とても頼りになる一冊だと思います。特に、分析的に考えようとすると逆に混乱してしまうタイプの人には、救いになるところが多いはずです。
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