
ネガティブ・ケイパビリティ 答えの出ない事態に耐える力 (朝日選書)
帚木 蓬生
株式会社朝日新聞出版 / 2017-04-10
この本について
仕事でも人間関係でも、分からないことが続くと、つい「早く意味づけして落ち着きたい」と焦ってしまいますよね。分かったつもりになった方が楽だし、何もしないで宙ぶらりんに耐えるのは正直しんどい。でもその焦りのせいで、本当に見るべきものを見落としている気がする……そんなモヤモヤを抱えていたとき、この本にだいぶ助けられました。 著者は、わからなさに耐える力を「ネガティブ・ケイパビリティ」と呼んでいます。聞くだけだと精神論っぽいですが、実際はもっと地に足がついていて、例えば患者の言葉をすぐに解釈しない精神科医の姿勢や、子どもの描く絵を意味づけで奪わない話など、具体的な場面で語られます。読みながら、自分がどれだけ“分かったことにする”ことで思考停止していたかを痛感しました。結論を棚上げして、そのまま持ちこたえる時間こそ、相手の気持ちや状況の核心に近づく入口になるのだと腑に落ちます。 そしてもうひとつ刺さったのは、「人の病の最良の薬は人である」という一文です。正解よりも、宙ぶらりんを一緒に引き受ける態度のほうが相手を支えることがある。これは仕事にも家庭にもそのまま持ち込める実感でした。 答えを急がないことがむしろ前に進む力になると感じたい人に、静かに効いてくる一冊だと思います。
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