
環状島へようこそ---トラウマのポリフォニー
宮地 尚子
日本評論社 / 2021-04
この本について
最近、人との距離感がうまくつかめなかったり、誰にも言えないまま抱え込んでいる出来事が頭の片すみに居座り続けたりしませんか。時間がたったはずなのに、なぜか「まだ触れられない」感じが残る。私自身、このあたりのモヤモヤを言語化できずに長く放置していました。 『環状島へようこそ』は、その「語れなさ」や「揺れ」を、そのままの形で扱ってくれる本です。環状島というモデルを軸に、弱さを明かすことの難しさや、秘密を持ちながら生きることの必然性、語れる時期と語れない時期の揺れを説明してくれる。読んでいると、自分の中の水位が上がったり下がったりしてきた理由が、ようやく少しわかるような感覚がありました。また、傷ついた側が加害者になってしまう構造や、支援する側に吹く風の強さなど、加害/被害の単純な図式では回収できない現実をていねいに扱ってくれるのもありがたいところです。 特に「秘密を持てることは健康に必要だけど、すべてを秘密にすると孤立する」という話は、日常の対人関係でもそのまま起きていることだと気づかされました。全部話さなくてもいいけれど、どこかでつながりを保つ余白は必要なんですよね。 自分の過去や他人の痛みについて、白黒つけずに向き合いたい人に刺さる本です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの25%が集中しています。
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