
いずれすべては海の中に (竹書房文庫)
サラ・ピンスカー and 市田泉
竹書房 / 2022-05-31
この本について
なんとなく「この選択でよかったのかな」とか、「別の分岐を選んでたら人生どうなってたんだろう」と考え続けてしまう時期ってありますよね。自信がないわけじゃないけど、未来の自分を想像するたびに不安がにじむ感じ。僕もよくそこで足が止まります。 『いずれすべては海の中に』を読んでいて刺さったのは、登場人物たちがその迷いを特別なものとして扱っていないところでした。不安のせいでチャンスを逃すのが怖いとか、二十代のころを基準に人を見てしまう癖とか、他人を自分の延長だと思ってしまう甘さとか。そういう小さなつまずきがSF的な出来事によって浮かび上がってくるけれど、劇的に解決するわけじゃない。でも、少しだけ視点が動く。その距離感がすごく現実的なんです。 特に、どの世界にも「別の自分」がいて、どれも完全ではないという描き方が、妙に落ち着きをくれました。無限の現実に触れられる設定なのに、結局は自分が信じたいものを選んで前に進むしかない。その当たり前さを物語の中で確認できるのが、この本の静かな効き目です。 過去の選択を引きずりがちな人、未来の自分を思うと急に足がすくむ人には、じんわり染みると思います。僕は、迷ったままでも進めるんだなとほんの少しだけ思えました。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの33%が集中しています。
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