
この本について
未来について考えようとすると、どうしても「結局よく分からないし、考えても仕方ないのでは…」と手が止まることがあります。予測できないし、専門家でも意見が割れるし、そもそも自分が何を基準に判断すべきかも曖昧。僕自身、技術や社会の行く先に不安を抱えつつ、どこから手をつければいいのか分からない時期が長かったです。 『未来倫理』は、そのモヤモヤに正面から向き合うための視点をくれます。未来は予測できない、そして人間の想像力はテクノロジーに対して制約されている──そんな前提をまず受け入れるところから始まります。その上で、誇張という手法で想像力を意図的に広げたり、素人の専門性モデルのように、専門家と当事者が並列で議論をつくる構図を描いたりと、「どうやって未来を考える土台に乗るか」を丁寧に示していきます。読み進めるうちに、未来像を正確に当てようとするのではなく、問いをつくっていく姿勢が重要なのだと腑に落ちてきます。 特に、現在の選択が未来世代に一方的な影響を与えてしまう非対称性の話や、「世界」を子どもの居場所として守るという考え方は、自分の行動をどう位置づけるか考えるきっかけになりました。答えを急がず、でも放置もせず、想像力を使って対話を続けるという距離感が現実的です。 未来をテーマにすると身構えてしまう人ほど、静かに効いてくる一冊だと思います。
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