
Jポップで考える哲学 自分を問い直すための15曲 (講談社文庫)
戸谷洋志
講談社 / 2016-09-15
この本について
最近、何かに向き合おうとすると「そもそも自分って何なんだっけ」と足が止まる瞬間が増えました。考えようとすると余計わからなくなるし、かといって流されるのも違う気がする。そんな堂々巡りみたいな感覚に、ずっと名前がつけられませんでした。 この本は、哲学の専門用語ではなく、Jポップという身近な入り口から「自分をどう捉えるか」をゆっくりたどっていく一冊です。印象的だったのは、答えを急がなくていいという姿勢が徹底しているところです。自分を考えようとすると主体と客体がぐるぐる分裂してしまう、あの説明しづらい感覚をそのまま言語化してくれる。そして、「自分」を確かなものとして感じられないのは個人の弱さではなく、他者との関係が前提にあるからだという視点も、変に励まされるというよりは、肩の力が抜ける感じがありました。 読んだあとにすぐ劇的に変わるわけではないけれど、同じところを行ったり来たりしていいんだ、と腹の底で思えるようになる。そのゆっくりした歩き方が、結果的に自分を見る角度を少しだけ変えてくれる気がします。 自分らしさに確信が持てないまま立ち止まりがちな人に、じわっと効く本だと思います。
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