
ザ・ロード (ハヤカワepi文庫)
コーマック マッカーシー and 黒原 敏行
早川書房 / 2023-01-24
この本について
仕事でも生活でも、ふとした拍子に昔の記憶がよみがえって、しかもそれが実際どうだったのか自信がなくなることがあります。思い出したいことは曖昧で、忘れたいことほど妙にはっきりしていたりして、なんだか自分の内側が信用できないような感覚になる人も多いと思います。 『ザ・ロード』を読んでいて刺さるのは、まさにその揺らぎを正面から扱っているところでした。記憶が少しずつ改変されていく怖さや、幸運だと思える瞬間すら「本当にそうなのか」と疑ってしまう揺れ方は、極限状況の物語であっても、どこか日常の延長に感じられます。また、誰かとの関係が、自分をかろうじて踏みとどまらせているという描写も、ドラマチックというより静かで現実的です。読んでいると、大事なものを「当然」と思い込みそうになる自分へのブレーキがゆっくり効いてくる感じがあります。 世界が灰色に見える日や、希望をまっすぐに信じられない夜に、それでも前へ進む視点を貸してくれる一冊です。極端な状況を描きながら、むしろ日常の不安に効いてくるところがこの物語の不思議な力だと思います。こんな人に刺さります──自分の弱さも含めて、現実とどう折り合うかを探している人。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの42%が集中しています。
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