
ババヤガの夜 (河出文庫)
王谷晶
左右社 / 20190701
この本について
仕事や生活を続けていると、「この先どう生きていけばいいんだろう」とふと立ち止まる瞬間がありますよね。誰かと一緒にいるはずなのに気持ちは並走しきれなかったり、自分の中に眠らせてきた衝動がときどきうずいたり。穏やかに生きたいはずなのに、どこかで「このままで本当にいいのか」とざわつく。そんなときに読んだのが『ババヤガの夜』でした。 この物語の二人は、愛とか絆とか、綺麗な言葉で説明できる関係じゃありません。でも肩を並べて皿を洗い、犬の話をし、逃げ続けながら四十年分の生活を積み重ねている。その距離感がすごく現実的で、私たちが抱える「答えのない関係」のしんどさとどこか重なります。また、ずっと封じてきた衝動に再び火がつく場面は、自分の中にまだ消えていない“力”みたいなものを丁寧に思い出させてくれます。そして何より、偽物みたいな日々でもちゃんと「自分」でいられるんだと、二人の逃亡生活が示してくれるのが印象的でした。 物語としては激しい場面も多いのに、読後に残るのは静かな肯定です。自分の人生が直線じゃなくても、誰とも分かり合えなくても、それでもやっていける。そんな感覚を思い出したい人に特に届くと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第3章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの20%が集中しています。
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