
無人島のふたり―120日以上生きなくちゃ日記―(新潮文庫)
山本文緒
新潮社 / 2022-10-19
この本について
日々をそれなりに頑張っているつもりなのに、ふと「このままでいいのかな」と立ち止まる瞬間ってありますよね。お金や時間の使い方も、人との距離感も、いつか来る終わりのことも、頭ではわかっていても腹では整理しきれないまま流れていく。そんなモヤモヤを抱えたときに、この『無人島のふたり』は変に励まそうとせず、むしろこちらの戸惑いに並走してくれる本でした。 読者が強く反応していたのは、「緩和ケアの現実を知らなかった」と静かに戸惑うところや、「もっと時間の使い方があったのかもしれない」と後悔に触れるところ、そして「別れたくない」とただ正直にこぼれる言葉でした。痛みや不安を抱えつつ、それでも生活を続ける描写にはドラマチックな盛り上げはなく、むしろ普段の自分の延長線にある感情がそのまま置かれている感じがします。 この本が効くのは、死をテーマにしているからではなく、日常の迷いに対する視点をゆっくり整えてくれるからだと思います。逃げてもいいし、割り切れなくていいし、理屈では追いつけない感情をそのまま持っていても大丈夫なんだと、著者の言葉が先にこちらへ寄り添ってくれる。強さよりも「正直さ」に触れて、少し呼吸がしやすくなる感覚があります。 自分のペースで生きたいのに、何を大事にしていいか迷っている人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの57%が集中しています。
読書の順序
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