
ふたりの余命
高山 環
宝島社 / 20231005
この本について
最近、やりたいことが分からないまま時間だけが進んでいく感じがして、ふと不安になることがあります。後悔したくないと思いながら、実際には何を選べばいいのか分からず、言葉にできないまま胸の奥がざわつく。そんな状態のときに『ふたりの余命』を読んだのですが、この物語は“答えを押しつけないまま、自分の輪郭が少しだけ見える”タイプの小説でした。 まず、言葉の力を取り戻す感覚があります。読者が保存している抜粋には、声に出したときの言葉の立体感や、表現を自ら狭めてしまう怖さが書かれていて、普段どれだけ自分の考えを雑にスルーしていたのか気づかされました。もう一つ大きかったのは「後悔はゼロにはならない」という視点で、生き方を評価し直せるところです。悔いが残るのは失敗だからではなく、人間が生きている以上当然で、そのうえで人は自分の足跡を残していく。こういう現実寄りのメッセージが、変に元気づけようとしないぶん、静かに効いてきます。 そして、この本は“時間が有限であること”をしつこくは言わないのに、読み終わる頃には自分の時計の針を意識せざるを得なくなります。いまやりたいことを誰かの許可を待たずに掬い上げること。そのために必要なのは大きな決断より、まず自分の言葉を取り戻すことなんだと腑に落ちました。 迷いながらでも前に進みたい人に刺さる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの30%が集中しています。
読書の順序
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