
世界哲学のすすめ (ちくま新書)
納富信留
この本について
「哲学って、結局どこまでが本物なんだろう…」と考え始めると、足元がぐらつくような不安が出てきませんか。西洋中心の話を聞けばしっくりこないし、かといって日本やアジアの思考を持ち出すと「それは宗教でしょ」と片づけられる感じもある。自分が何を拠りどころにすればいいのか、よく分からなくなるあの感じです。 この本が面白いのは、そうしたモヤモヤを力技で解消しようとしないところです。むしろ、哲学と呼ばれてきた営みが、すべて歴史的でローカルな視点の産物だったことを丁寧に示してくれる。そのうえで、日本やインド、中国などの議論が、西洋の概念とどう丁寧に衝突し、影響し合ってきたかが具体的に追えるんです。仏像の語彙選び一つに、インドとギリシアの哲学的対決が潜んでいる、という視点はけっこう揺さぶられました。 同時に、世界哲学を語ること自体が「文化の押しつけ」になりうる危険もちゃんと書かれていて、立場の楽な方へ逃げない。こういうバランス感覚のおかげで、自分が日常で使っている「宗教」「思想」「哲学」というラベルがどれだけ曖昧なのか、いい意味で自覚できます。肩に力を入れて“正しい哲学”を探す必要はないのかもしれない、と気が少し軽くなる本です。 自分の思考の前提そのものを見直したい人に刺さると思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第10章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの56%が集中しています。
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