
レーエンデ国物語 夜明け前
多崎礼
この本について
仕事でも人間関係でも、「正しいと思って選んだはずなのに、どこか後味が悪い」と感じる瞬間があると思います。自分の正しさを貫くほど視野が狭くなっていくような、あの妙なモヤモヤ。僕自身も何度もつまずいてきたところで、だからこそこの物語の言葉がすっと胸に入ってきました。 『レーエンデ国物語 夜明け前』は、正しさや正義を扱う物語なのに、決して「これが答えだ」とは言いません。むしろ、十人いれば十通りの正義があって、それぞれが誰かの欲望とつながってしまうという、現実に近い手触りがあります。「普遍的な正しさは、人間には荷が重い」という一文に触れると、白黒つけられずに迷ってしまう自分をそのまま肯定してもらえた気がしました。 さらに印象的なのは、同じ目的を掲げていても、どこに軸足を置くかで選ぶ道が変わってしまうという視点です。レーエンデの未来を選ぶ者もいれば、神の御子を選ぶ者もいる。それぞれの選択には事情と信念があって、その揺らぎが物語を異様にリアルにする。善悪の線引きよりも、「どうしてその選択に至ったのか」を丁寧に見せてくれる物語は、現実ではなかなか出会えません。 正しさに疲れたとき、あるいは自分の選択に自信が持てなくなったとき、この本は少しだけ呼吸を整えてくれます。「暗い時代にも、必ず黎明の星はある」というラストの感覚が、読後にじんわり残りました。 こんな人に刺さると思います。正しさの基準が揺らいで、立ち止まりたくなっている人へ。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第6章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの50%が集中しています。
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