
爆弾【電子限定特典付き】 (講談社文庫)
呉勝浩
講談社 / 2024-07-12
この本について
最近、正しいと思って動いたのに結果がついてこないとか、判断がどんどん鈍っていくような感覚ってありませんか。自分では普通に働いて、普通に人としてまともにやっているつもりなのに、気づけば「これ以上どう伸ばせばいいのか」が見えなくなる。あの行き詰まりに似た空気を、この『爆弾』にはかなり濃く感じました。 登場人物が抱えているのは、派手な葛藤よりも、むしろ「自分は普通の人間だと思っていたのに、いつの間にかどこにも戻れなくなっていた」という静かな重さです。与えられた手続きをこなし、力を抜いて日々をやり過ごす感覚や、過去の失敗が染みついて次の判断を狂わせていく描写は、フィクションなのに身に覚えがあるようで、読んでいて妙に刺さります。事件そのものの緊張感もありますが、人物がふと見せる卑小さや後悔、意地の張り方のほうが、むしろ物語を引っ張っていきます。 この本の効き目は、派手に鼓舞してくれる類のものではなくて、「人間ってやっぱりこういう弱さを抱えたまま進むしかないよな」と、視点を少しだけフラットに戻してくれるところにあります。自分の中の陰りや停滞を、物語の人物越しに安全な距離で眺められるのがありがたい一冊です。 仕事でも生活でも、うまくいかない理由を外にも内にも置ききれずに宙ぶらりんになっている人には特に刺さると思います。
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ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの16%が集中しています。
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