
リサーチ・クエスチョンとは何か? (ちくま新書)
佐藤郁哉
この本について
調査や論文を書こうとすると、「そもそも何を問いたいんだっけ?」と途中で迷子になることがよくあります。最初に立てた問いがぼやけてきたり、データを集めるうちに別の方向へ引っ張られたりして、気づけば手元にはメモだけ増えていく。自分もずっとこのモヤモヤに悩んでいました。 この本が助けてくれたのは、リサーチ・クエスチョンを“一度決めたら守るもの”ではなく、“育てるもの”として扱っている点です。調査の初期から論文にまとめるまでのあいだに起こる右往左往や試行錯誤を前提にしていて、問いが変化することそのものをプロセスとして説明してくれます。大きな問いをメインとして抱えつつ、現実的な制約や対象の絞り込みを踏まえてサブの問いに細かく落としていく。その往復の中で、ようやく本当に知りたかったことの輪郭が見えてくる感じがありました。 さらに、この本は「WhatとWhyを行き来すること」「セレンディピティをどう扱うか」といった、実際の調査でぶつかりがちな場面にも丁寧に触れています。論文に書かれるのは“上澄み”でしかなく、その裏にある混乱や気づきこそが研究を支えている──その視点は、肩の力を抜いて作業を続ける助けにもなりました。 研究の問いづくりで立ち止まりやすい人、特に「問いの明確さ」と「現場で起きる揺れ」のあいだで悩んでいる人にはしっくりくる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第1章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの27%が集中しています。
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