
詭弁と論破 対立を生みだす仕組みを哲学する (朝日新書)
戸谷 洋志
朝日新聞出版 / 2025-04-11
この本について
SNSや職場の議論で、「結局わかり合えない感じ」が前より強まっている気がします。相手が間違っているからではなく、そもそも立っている場所も、見ている“現実”さえ違っているんじゃないか…と薄々気づいても、うまく言葉にできないままモヤモヤが残る。僕もずっとその違和感を抱えていました。 この本は、論破や正しさをめぐる混乱を嘆くより前に、「なぜそうなるのか」を一度立ち止まって見直すための視点をくれます。情報が過剰になった結果、人が“信じたい情報だけ”を拾うようになる仕組みや、立場によって事実の見え方が変わること。さらには、相手を論破しようとする態度そのものが対話を壊してしまう理由など、日常の会話で感じるギスギスの根っこを丁寧に言語化してくれます。特に、眺め方が変わるだけで世界の意味が変わるという指摘は、議論に向かう自分の姿勢も問い直されました。 一方で、この本は「みんな違うんだから分かり合えない」で終わらず、かつて人々が“読書という私的な時間”から“開かれた対話の場”へつながっていった歴史をたどりながら、どうすれば立場を超えて考えることができるのかを示してくれます。対話そのものを取り戻すためにできる小さな態度の変化も、読んでいると自然と想像できました。 議論がしんどい、SNSで疲れた、あるいは自分の言葉を持てずに流されてしまう…そんな人に静かに刺さる一冊だと思います。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第4章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの15%が集中しています。
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