
深夜特急6―南ヨーロッパ・ロンドン―(新潮文庫)
沢木 耕太郎
新潮社 / 2020-09
この本について
仕事でも人生でも、ふと「自分だけ止まっている気がする」瞬間ってありますよね。周りは着実に生きているように見えるのに、自分はまだ地図の端っこで立ち尽くしているような感覚。知識も経験もあるはずなのに、かえって身動きがとれなくなることもあります。そういう時に『深夜特急6』を読むと、少しだけ視界がひらける感じがするんです。 たとえば、半端な知識ほど判断を鈍らせるというあの一節。知らないままの自分を受け入れた方が、ちゃんと調べようとするし、余計な思い込みを持たずに済む。その感覚は、仕事でやたらと「知ってるふり」をして苦しくなった経験に刺さりました。あるいは、同世代のマルコの生活を前にした焦り。自分が何も生み出していないように感じるあの胸のざわつきも、旅先の光景と混ざりながら、どこか肯定されていくように読めるんです。 さらに、カメラを失ってから急に「何もかも残したい」と思う場面があって、あれは今の生活でもそのまま起こっていることだなと気づきました。手に入れた瞬間より、失って初めて世界の細部が見える。そんな感覚を、淡々とした文体で拾い上げてくれるのがこの巻の魅力です。 大きな答えは書かれていませんが、迷っている自分のままでも前に進める気がしてくる本でした。どこかで「自分はまだ途中だ」と感じている人に、とても静かに効く一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第9章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの21%が集中しています。
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