
ダブル・ファンタジー(上)
村山 由佳
文藝春秋 / 2011-09
この本について
人間関係って、相手を大事に思うほど距離感がぐちゃっと乱れて、気づけば自分でも説明できない不安や期待でいっぱいになることがあります。相手の言葉に揺れたり、求められることで満たされるはずなのに、どこかで「私はそこに収まりきれない」と思ってしまったり。そういうモヤモヤを、うまく言語化できずに抱えている人は多いと思います。 『ダブル・ファンタジー』を読んでいて刺さるのは、まさにその「揺れ」を細かいところまで正直に書いてくれているところです。相手の支配に気づきながら期待してしまう心の動きとか、自由になれと言われても、その自由がむしろ罰に感じられるような創作のしんどさとか。きれいごとではなく、現実の感情に近い温度で描かれているので、自分の中の本音に触れてしまう瞬間が多いんですよね。読んでいると、誰かのために生きていたつもりが、いつの間にか相手に責任を預けて楽をしていた、という指摘も他人事に思えなくなります。 恋愛や創作に対して「正しい形」を探すほど苦しくなるタイプの人には、とくに沁みると思います。いい意味で逃げ道を作らず、でも読者を追い詰めもしない距離感があって、読み終えたあと、自分の選びたい方向が少しだけ見えるようになる一冊です。
読書インサイト
ハイライト密度
多くの読者は第2章に最もインサイトを感じており、全ハイライトの23%が集中しています。
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